教科力は、国語、算数（数学）、理科、社会などの科目ごとの能力を指します。 「聞く力」「書く力」「読み解く力」など学習の仕方に関わるスキル自体を学習力といいます。 さらには「テストの受け方」「自己管理」「タイムマネジメント」を基本行動といい、「学習モチベーション」「テスト時の平常心」「集中力・注意力」を学習姿勢といいます。 MALSIでは、これら3つをあわせて“学習能力”と呼び、教科力とは右記の図のような関係になると考えています。 例えば、計画的に学習を行うことで、全ての教科力によい影響が及び、成績の向上が見込めるように、タイムマネジメントに含まれる計画性要素は、全ての教科において重要な能力です。
これら学習能力に関しては、一般的に指導の環境（対応する生徒数や授業時間）によって、生徒一人ひとりの状態を把握するまでには、多くの時間を要します。もし、指導前にこれら生徒一人ひとりの学習状態を把握することができれば、指導開始と同時により効果的な指導が期待できるのではないかと考えました。
また教科の成績には現れない、子どもたちの長所や成長を見極め、励ますことで、子どものやる気を高め、教科力の向上へとつなげていく―それが、MALSI開発のきっかけです。

学習能力に関して、多くの保護者が、必要と認識しながらも十分に身についていないと感じていることが、MALSI開発と並行して行なったアンケート調査より明らかになりました。以下は2400名の子どもを持つ保護者より427名を抽出した「小学3年生～中学3年生のお子様を学習塾に通塾させている保護者」の回答です。
Q1.において96.6%の方（全ての項目の平均値）が、以下の項目が成績や学力向上に影響があると認識しています。

・学習力に関する項目は以下の通りです。
・効果的な勉強の仕方がわかっていること。
・先生の話を聞き、しっかりとノートにまとめていること。
・文章や資料を読み、理解する力があること。
・知識や情報をまとめる力。
・テストを受け方の基本や手順を理解していること。
・生活や学習において時間配分が上手にできること。
・約束事（宿題・時間など）をしっかり守ること。
・学習に手際よく取り組める環境を作っている（整理整頓）こと。
・目標をもつこと。
・今の学習が将来に役に立つ（つながっている）ことを意識していること。
・学校（学習塾）に行くのが好きであること。
・テスト前に準備がしっかりできていること。
・本番（テストなど）で実力を発揮できること。
・集中力があること。
・いつも見直しをし、ミスに気をつけること。
・何事においても計画を立てること。

一方、実際にお子様の習熟度を聞いたQ2.の「次にあげる学習に関する項目について、お子様はどの程度できて（身について）いると思いますか。」では、62.4%（全ての項目の平均値）の方は不十分もしくは、ほとんどできていないと回答しています。つまり、成績・学力に影響するいくつもの項目で、実際には多くの方が学習能力について「身についていない」と感じているのです。

上記のアンケートで、これら学習力に関する項目について学習塾で指導してほしいですかと聞いたところ、「ぜひ指導してほしい」で55.8％、「できれば指導してほしい」をあわせると93％の保護者が学習塾での対応を期待しています。

結果として、通常の教科力を高めることはもちろんのこと、これら学習能力について、指導前に診断を行い、早期に子どもの状態を把握・対応することは、教科力の向上が見込める上、保護者の期待に沿うという面でも大きなメリットが期待できるのです。

学力を測定する試み、すなわち「テスト」は、古くは旧約聖書の時代から行われていたと言われています。
テストを作成・実施・分析する方法は、教育心理学や教育測定学において大いに議論されてきました。しかしながら、テストで測定する学力を育成するためには、まずは学習者自身が「学習意欲」を持ち、自己の状態を認識しながら学習に取りくむことが必要です。そして、学習意欲を喚起するためには、学校や塾での学習方法やそれに関する癖のみならず、生活習慣や生活意欲などを含む、総合的な「学習環境」を整える必要があります。

MALSI学習力・意欲診断は、一般的な学力テストでは測定が難しかった学習者の学習環境と基本となる学習行動についての情報を、教授者・保護者・学習者の間で共有するための、「学びの診断カルテ」といえるテストです。あらゆるテストは、学習者に序列をつけるために行うのではありません。また、実施するだけでは終わりません。テストの結果から、教授者・保護者・学習者それぞれが自分にとって有用な情報を読み取り、未来のために活かすことこそが最も重要なのです。

MALSI学習力・意欲診断の結果を有効活用することで、学習者が学習意欲を喚起増進するためのよりよい学習環境を創るきっかけとなると確信しています。